健康ひとくちメモ

傷の手当

春の訪れとともに、外出する機会が増えてきましたが、この時期はうっかり手や足などにケガを負ってしまうことが多くなり、特に外で遊ぶ機会が増える子供たちはすり傷や切り傷など生傷が絶えない季節でもあります。傷を負った時に、充分な応急手当をせずに、たかがすり傷、切り傷と侮っていると、化膿して傷口が目立って残ったり、破傷風のような重篤な病気を招いたりすることもあります。「絆創膏」などの常備とともに、知っておきたいのが傷の応急手当です。

「止血」「感染防止」「痛み緩和」が基本

傷の手当においては、「出血を止める(止血)」「細菌感染を防ぐ」「苦痛を和らげる」ことが基本となります。止血したら、汚れた傷口をきれいにし、傷の表面を保護することが何より大切です。

すり傷

すり傷とは、皮膚をこすった傷のことで、皮膚の表面が削られた擦過傷です。浅い傷でも、傷の表面が広いものであったり、汚れとともに傷口にバイ菌などが付着しやすく、出血は比較的少ないのが特徴です。
すり傷をした場合、すぐに応急手当をしましょう。応急手当は破傷風などの二次感染を防ぐためにも重要です。

すり傷の場合の応急手当

  1. 傷口を水道水などで洗い流す。流水でしっかり土や泥などの汚れを洗い流すことで、傷の治りも変わり、破傷風(※)の危険性を減らすことができる。
  2. 傷口を殺菌消毒液で消毒し、滅菌されたガーゼでやさしく拭き取る。
  3. 絆創膏を貼って傷口をふさぐ。傷口が大きい場合は滅菌されたガーゼをあてて傷口をふさぐ。

※破傷風・・・傷口に破傷風菌が増殖し、破傷風菌が産生する毒素が神経に入り込んで中枢神経まで達して全身の筋肉が硬直したり、痙攣を引き起こす病気のこと。傷口の汚れが原因です。破傷風菌は土や動物の糞便の中に潜んでいるので、傷口がきれいな場合は増殖することはありませんが、農作業や登山などで負った傷の場合は特に注意が必要なほか、小さなトゲなどが刺さったまま気づかずに放置しておくのも危険です。

POINT

同じ絆創膏やガーゼを長時間にわたって使用し続けないことが重要です。化膿防止や治りを早くするためにも、こまめに取り替えること、さらに、取り替えと同時に傷口を流水で洗うことを常に心がけましょう。

切り傷

切り傷とは、包丁などの刃物や金属片、ガラス片などのような鋭利なものによる傷のこと。他の傷に比べて出血が多く、痛みも強いのが特徴です。傷口が深い場合には、筋肉、腱、神経を切っていることもあります。清潔なガーゼをあて、少し強めに包帯をします。

切り傷の応急手当

応急手当の基本は「止血」です。血が止まったら消毒するという流れになります。

  1. 浅い切り傷の場合:
    滅菌されたガーゼを傷口にあてて軽く押さえます(止血)。軽い出血の場合は3分程で止まります。このあと、殺菌消毒液で消毒し、絆創膏や滅菌されたガーゼで傷口をふさぎます。
  2. 深い切り傷の場合:
    滅菌されたガーゼやハンカチなどを傷口にあて、強く押さえます(止血)。傷口の部位を心臓よりも高くする。(出血が激しい場合は、指の関節、腕・股の付け根などの止血点を強く押すことも大切)そして、ガーゼの上から包帯などを巻いて病院へ行って下さい。

刺し傷

刺し傷とは、トゲ、針、釘、ガラスの破片などの尖ったものが皮膚に突き刺さってできる傷です。傷口自体は小さく出血はそれほど多くないものの、奥が深く、感染の危険性が高い傷で、破傷風や感染症などの症状を引き起こす場合もあります。

刺し傷の応急手当

傷口にトゲや針などが残っている場合は、毛抜きなどで早めに抜くことを心がけてください。針などを抜く場合、針などに付着している菌をさらに体内に入れてしまう可能性があるので、注意が必要です。小さな傷なら、傷口についた菌を出してしまうために、少し血を絞り出してから、手当をするとよいでしょう。また刺し傷を負った時には、患部を冷やすことも大切で、氷水を入れた袋や湿布薬などを用いるとよいでしょう。

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