健康ひとくちメモ

鼻呼吸

健康の基本は「鼻呼吸」

人間本来の呼吸法は「鼻呼吸」なのですが、日本人の多くの人は「口呼吸」をしている現実があります。哺乳動物の中で「口呼吸」をしているのは人間だけ。本来、哺乳動物にとって、鼻は息をするための器官、口は食べるための器官なのですが、人間は進化の過程で言語を獲得し言葉を発するようになったため、口でも呼吸ができるようになったと言われています。生まれたばかりの赤ちゃんは口呼吸をしておらず、言葉を発するようになると口呼吸を行うようになり、それに伴い病気を発症するようになることが知られています。

「口呼吸」は外敵に無防備な呼吸法

多くの人にみられる口呼吸は、冷たく乾いた異物だらけの空気が直接、咽頭や喉頭に当たってしまい、口内は乾燥し、病原体が繁殖しやすい状態になります。つまり、病原菌などの外敵に対して、非常に無防備な呼吸法なのです。人間が発症する病気の7割は口呼吸が原因とも言われています。
口呼吸をしていても日常生活の上で何の支障もない-と考えがちですが、口呼吸の習慣を続けることで、呼吸器系疾患やアレルギー性疾患、皮膚疾患、自己免疫性疾患、精神性疾患などに罹るリスクを高めていることを認識することが大切です。
また口呼吸は虫歯や口臭の原因になりやすいと言われています。口呼吸をすると口の中が乾燥し唾液の分泌も抑えられてしまいますが、唾液には口の中を潤し殺菌する作用があるので、唾液の分泌が減ると虫歯になりやすく、口臭の原因にもなるのです。

人間本来の呼吸法は「鼻呼吸」

口呼吸が無防備な呼吸法なのに対し、鼻呼吸は非常に優れた防御システムを持つ呼吸法です。鼻の入口にある鼻毛は天然のフィルターとも言われ、外から侵入しようとする花粉やホコリなどをブロックしてくれるほか、鼻腔粘膜では、線毛の上皮細胞と粘液の分泌によってウイルスや細菌などのさらに小さな異物を絡め取ってくれます。
鼻から入ってきた空気は、鼻腔の中を通過する際に適切な温度と湿度に調整されるので、肺の負担を軽減し肺の中でスムーズに循環されています。こうした働きによって鼻から入る空気は、口から入る空気よりも感染症に罹るリスクが少ないと言われています。
呼吸器の一部である鼻は、温度調節や加湿機能、空気清浄機能を兼ね備えており、健康のためには鼻呼吸が何より重要だと言えましょう。

〈豆知識〉 「鼻呼吸」とダイエット

鼻呼吸は体にたくさんの酸素を取り込み、脂肪がよく燃焼されるとともに、血流も良くなって内臓機能が活性化され、より多くのエネルギーが消費されるので、基礎代謝が上がり、痩せやすい体になります。
基礎代謝は、呼吸をしたり心臓を動かしたりと、生命を維持するために必要なエネルギーで、座っていたり睡眠中など、じっとしている時にも消費されるエネルギーです。1日のエネルギー消費量の6~7割が使われています。基礎代謝量が上がるということは、特別な運動などをしなくてもたくさんのエネルギーが消費され、食物も効率よく消化でき、体に溜め込むことがなくなり、痩せやすい体になるといえます。効率的にエネルギーを消費するためには基礎代謝を上げることが理想です。また、筋肉量が増えると基礎代謝量もアップするので、鼻呼吸の習慣で呼吸筋を鍛えることも効果的です。

鼻呼吸により期待される効果

  • 口を閉じるので、口の渇きやのどの乾燥を防ぐ
  • 唾液の分泌が多くなるので、口の中の殺菌効果が高まる
  • いびきの軽減・予防に
  • 筋肉にたくさんの酸素が届けられるので疲労物質の乳酸が減少し、デトックス効果が高まる
  • 基礎代謝が上がり、痩せやすい体になる。

鼻呼吸テープで鼻呼吸の習慣を

口呼吸をしている人のほとんどは、無自覚でしています。健康のために鼻呼吸を習得する基本は、常に意識して口を閉じること。日頃から鼻呼吸することを心がけることが大切で、特に睡眠時には、鼻呼吸テープで唇を閉じる方法が効果的です。

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