健康ひとくちメモ

関節痛

「関節痛」とは、立ち上がる時や階段等を昇り降りする時、腰を曲げる時など、関節を曲げ伸ばしする際に痛みを感じる症状のことです。関節に痛みが生じる原因としては、長年にわたるスポーツ習慣などで関節に負担を強いてきたことや、ケガによるもの、リウマチや痛風といった病気によるものなどが挙げられますが、今日では加齢や肥満を原因とする「関節痛」が多く見られます。症状としては、ジンジン、ズキズキといった重く鈍い痛みで、しびれや麻痺を伴うことも少なくありません。
「関節痛」の中でも、特に多く見られるのが膝の痛みです。膝関節は、立つ、座る、歩く、走るなど、体重を支えながら日常生活を送るために最も酷使されています。加えて、加齢や慢性的な運動不足による筋力の衰え、膝の酷使や肥満などによる疲労物質の蓄積、血行不良による新陳代謝の低下などか膝関節の痛みを招く原因と考えられています。

膝への負担増加で関節軟骨が磨耗

膝関節の痛みの多くは「変形性膝関節症」です。「変形性膝関節症」は、関節の間にある軟骨が磨り減ってしまうために骨などが摩擦を起こして炎症を起こしたり、水がたまったりする症状のことです。骨の摩擦などによって骨に棘のような突起(骨棘=こっきょく)ができて関節が変形していくことから名付けられています。関節軟骨は、骨と骨の間でクッションのような役目を果たし、関節の衝撃をやわらげて動きを滑らかにしていますが、長年にわたる膝への過度の負担によって、この関節軟骨が傷つき、すり減ってしまうことで痛みを生じさせています。

50歳以上の女性の4人に3人が「変形性膝関節症」

「変形性膝関節症」の患者数は厚生労働省の国民生活基礎調査などから約700万人とも推定されているほか、東京大学などの疫学調査結果では50歳以上の女性で74.6%、男性で53.5%が「変形性膝関節症」を発症していることが報告されています。女性に「変形性膝関節症」の人が多く見られるのは、男性よりも筋肉量が少ないために膝への負担が大きくなるとされているほか、妊娠・出産によってO脚になりやすいこと、月経などで体内から水分が失われやすいことなど、膝への負担が男性よりも多いからだといわれています。

関節の痛みが原因で、寝たきりになる場合も

この「変形性膝関節症」は、いきなり激痛が襲ってくるのではなく、気付かないうちに症状が少しずつ進行していき、末期になると、硬い骨同士が直接ぶつかり合うため強い痛みを生じ、曲げ伸ばしの制限も大きくなり、日常生活を送る上で大きな障害ともなります。
膝などに多少痛みがあっても、「歳だから仕方がない」とか「まだ大丈夫」と放置したりしている人が多く見られますが、関節の痛みは放っておいても良くなることはありません。症状がさらに悪化し、場合によっては要介護や寝たきりになってしまうケースもあります。厚生労働省の調査では要支援が必要になった原因のトップに関節疾患が挙げられ、要介護の要因でも上位にランクされています。

変形性膝関節症の症状の進行

初期:軟骨の表面がすり減りはじめている[なんとなく痛い]
立ち上がる時に痛い・膝がこわばる・動きはじめる時に痛い・膝に違和感を感じる
中期:さらに軟骨がすり減って痛みがひどくなる[ガマンできる痛み]
正座がしずらい・しゃがむりがつらい・階段の昇降がつらい・膝を完全に曲げられない
末期:軟骨がすり減り骨と骨がぶつかる[痛くて歩けない]
じっとしていても痛い・痛みで目が覚める・膝の屈伸が困難・歩くのが困難に

日頃から関節をいたわる心がけを

体の老化は遅かれ早かれ誰しも避けて通ることはできませんが、日頃から関節をいたわったり、生活習慣を見直すことで、痛みをもたらす要因を軽減し、症状の進行を防ぐこともできます。関節をいたわるために日頃から心がけたいことして、「適度な運動」「バランスの良い食事」「冷えを避ける」「肥満に注意する」などが挙げられます。
また関節軟骨を構成しているヒアルロン酸やコラーゲン、プロテオグリカンなどは、加齢とともに体内での合成量が減少します。強い保水力で関節軟骨の磨耗を防ぐヒアルロン酸、プロテォグリカンの再生を促し軟骨の老化を防ぐグルコサミン、軟骨組織の硬化を防ぎ新陳代謝を促すコラーゲン、プロテオグリカンに水分を送り込むコンドロイチンなど、関節軟骨成分をサプリメントなどで積極的に補給することも関節ケアにつながります。

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