健康ひとくちメモ

花粉症

花粉症は、スギなどの花粉を原因として起こるアレルギー性疾患で、主に目や鼻に症状が現われます。花粉症は今や国民病とも称され、4人に1人が罹っているとも言われています。

近年、花粉症患者が増加している原因としては、花粉の飛散量の増加のほか、食生活の変化、腸内細菌の変化、母乳から粉ミルクなど人工栄養への切り替え、大気汚染、喫煙などが影響していると言われています。特に空気の汚染に関しては、換気の悪い部屋でのストーブやガス器具等の使用、春先の黄砂の飛来などが指摘されています。また近年の研究によると、花粉症の症状を悪化させる原因として空気中の汚染物質やストレスの影響なども指摘されています。

花粉症の発症メカニズム

人間には、外部の異物(細胞やウイルス等)や異常な細胞が発生した時に体の中に抗体をつくり、異物や異常細胞を排除する免疫機能と呼ばれるシステムがあります。

免疫は本来、人間にとってプラスの働きをするものですが、時と場合によってはマイナスの働きをして私たちを苦しめます。これがアレルギー症状です。このアレルギーの一種としてアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎があり、これらのアレルギーが花粉によって生じたものが花粉症です。

花粉症は花粉が体内に入ってすぐに発症するわけではありません。人によって違いはありますが、数年から数十年の時間をかけて発症します。ただ近年は、花粉の飛散量が増えているため、発症までの期間が短くなり、子供の発症もめずらしくなくなりました。

花粉症の症状

花粉症の症状は、「鼻水」「鼻づまり」「くしゃみ」等のアレルギー性鼻炎、目のかゆみ、充血、流涙などのアレルギー性結膜炎、さらに「のどの痛みやかゆみ」「頭痛」「全身のかゆみなどの皮膚症状」などが多く見られます。鼻水、鼻づまり、くしゃみ、のどの痛みなどの症状は、かぜの症状とも重なりますが、両者は別の病気で、花粉症はアレルギー反応が引き金となりますが、かぜはウイルスや細菌などが原因です。

花粉症は発熱やのどの痛み、消化器症状などの全身症状が少なく、鼻の症状と目の症状が主体で、症状がつづく期間が長いことが特徴です。また花粉症は遺伝することも多く、家族の中にアレルギー性疾患を持っているケースが多いようです。

花粉症とかぜの初期症状の違い

花粉症

  • 一般的に発熱は少ない
  • ほとんどが目のかゆみを伴う
  • 鼻水は無色で粘り気がない
  • 晴れて風の強い日は症状がひどい
  • 花粉の飛散時期は悪化・回復を繰り返す
  • 本人や家族がアレルギー体質である場合が多い

かぜの初期症状

  • 発熱を伴うことが多い
  • 目のかゆみを伴うことは少ない
  • 黄色などで粘りのある鼻汁が出る
  • 天候に症状は影響しない
  • 通常は短期間で回復する
  • 本人、家族がアレルギー体質であるかは関係ない

花粉症の予防・治療対策

花粉症対策の基本は、花粉に関する知識を深め、その付着を避けることが何より大切です。これが不快な症状を緩和させたり、発症を遅らせたりすることにつながります。

スギ花粉の場合、飛散量が多くなるのは「晴れて気温の高い日」「空気が乾燥して風が強い日」「雨上がりの翌日や気温の高い日が2~3日つづいたあと」などです。また時間帯としては、その日の気象条件や季節によって変わりますが、一般的に昼前後と日没後に多くなると言われています。

花粉の付着を避ける方法(セルフケア)としては、外出時に花粉情報の収集はもとより、マスクやメガネ、帽子の着用などのほか、花粉が付着しやすく家の中まで持ち込みやすいウールなど生地の服装は避け、綿や絹素材の服装の着用を心がけましょう。また、帰宅後は口や鼻から入った花粉を洗い流すために、うがいや手洗い、洗顔をしましょう。室内の換気と掃除、加湿器の使用なども有効です。

花粉症の治療については、初期療法として花粉の飛散が開始した頃や、症状がごく軽い時から鼻炎用薬を予防的に服用することで、症状の発現を遅らせたり、症状を軽くしたりしてくれます。

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