健康ひとくちメモ

肩こり

老若男女を問わず増え続けているのが「肩こり」です。
かつては中高年特有の症状と捉えられていた「肩こり」ですが、職場にパソコンなどのOA機器が普及し、長時間同じ姿勢を続ける機会が増えたことや、悪い姿勢、過度のストレス、運動不足、さらに食生活の問題などが絡んで、今や国民の3人に2人は「肩こり」に悩まされているとさえ言われています。

肩の筋肉と血行不良の悪循環

「肩こり」とは、簡単に言うと「肩の筋肉が緊張するために起こるうっ血」です。肩こりの多くは、肩の筋肉の血の巡りが悪くなることが原因と考えられています。
肩から首にかけ、大小さまざまな筋肉がありますが、私たちはただ座っているだけでも、頭を支えるために首や肩の筋肉が働いています。筋肉が活動するためには、酸素と栄養が必要であり、そのためにも筋肉の中の血管に充分な血液が流れている必要があります。
この血液が不足すると、筋肉は酸欠状態になり、乳酸などの老廃物がたまってきます。そうなると、これが刺激となって筋肉の細胞から発痛物質が分泌され、神経を刺激し、肩から首筋にかけてこりや痛みが生じるようになるのです。

肩こりを引き起こす直接の原因は「筋肉疲労」と「血行不良」と言えますが、これらを招く要因としては、長時間にわたる同一姿勢や目の疲れ、ストレス、さらには病気が関係している場合もあります。

長時間にわたっての同じ姿勢、悪い姿勢

現代人の肩こりの一番の原因は、デスクワークなどによって長時間にわたり同じ姿勢をとる機会が増えたことです。
同じ姿勢をとり続けると、同じ筋肉だけに負担がかかり、他の筋肉が衰えてしまいます。それが肩こりや腰痛を招いています。
また日頃の姿勢の悪さが肩こりを引き起こしています。姿勢が悪いだけで、肩や首、腰の筋肉に緊張状態が続き、筋肉のこわばりや血行不良を繰り返す悪循環を招いています。

こんな姿勢が肩こりを招きます
  • 立っている時、つい腕組みをしたり、足を交差していませんか
  • 座っている時、無意識に足を組んで前かがみになっていませんか
  • 頬杖をつきがちではありませんか
  • 車の運転やデスクに向かって仕事をする時、背中を丸めて前かがみになっていませんか
  • 電話中に受話器を首と肩に挟んでいませんか
  • 食事の時、片方の歯だけで噛んでいませんか
  • バッグをいつも同じ肩にかけていませんか
  • 横に寝転んでテレビや本を見ていませんか
  • うつ伏せで寝ることが多くありませんか

このような姿勢は、知らず知らずに習慣になっている場合が多いのが現実です。いわば癖のようなもので、治すのは大変ですが、時間をかけて意識的に取り組む努力が大切です。

精神的なストレス

ストレスの多い現代社会では、「心因性肩こり」が非常に増えてきています。
過度のストレスによって自律神経の働きが乱れ、血液の流れが不安定になり、ひどい場合はうっ血を起こす要因にもなります。緊張する場面で、よく「肩に力が入る」と言いますが、これはまさにストレスを受けている状態です。特に几帳面な人、責任感の強い人、内向的な性格の人などに加え、悩みや不安を抱えている人やイライラしている人などに多いとされています。

目の疲れ

目の疲れと肩こりには密接な関係があります。
パソコン作業や精密な作業を行う際、目は長時間にわたって酷使することになり、常に緊張した状態が続きます。こうした状態が続くことで、ピントを合わせる目の筋肉が疲労するとともに、肩の筋肉にも影響が出てきます。

運動不足、睡眠不足、過労など

肩こりは、筋肉が柔軟性を失ったり、血管が硬くなって血行不良になることが大きな原因です。
加齢に伴い、筋肉も血管も衰えていきますが、その予防のために積極的に体を動かすことが必要です。運動不足は最大の敵とも言えます。
また睡眠不足や過労が相まって肩こりの原因になることもあります。睡眠を充分とって過労にならないようにキチンとした生活を送ることが肝要です。筋肉の緊張を緩めるためにも、たっぷりとした睡眠をとることや、入浴でリフレッシュするなど、リラックスする時間を大切にしましょう。

病気が関係するもの

病気の症状の1つとして肩こりが現われる場合です。
冷え症、更年期障害などのほか、循環器系や内科系、眼科系、精神系などのあらゆる病気が肩こりを招くとされています。例えば、肝臓や胆のうが悪い人は主に左肩、胃や膵臓が悪い人は右肩にこりや痛みがあり、両肩に感じる場合は狭心症や心筋梗塞、高血圧の疑いがあると言われています。臓器に異常が生じていることを知らせるシグナルの意味があるわけです。

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